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名古屋大学 大学院国際開発研究科
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「魅力ある大学院教育」イニシアティブへの展望 English
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「魅力ある大学院教育」イニシアティブへの展望

研究科長 中西久枝

 10月末のある小春日和、国際開発研究科に明るいニュースが飛び込んできた。「魅力ある大学院イニシアティブ」という文部科学省に提出していた申請が採択されたとの知らせである。このイニシアティブは、いわば教育COEとも言われるものであり、それへの申請が採択されるかどうかは、これまでの大学院教育の実績と今後の可能性について競争力があると見做されるかどうかにかかっている。本研究科がこの度採択されたのは、「国際開発分野における自立的研究能力の育成」(フィールドワーク能力強化を中心に)というプログラムであるが、フィールドワークについては特に本研究科が15年間設立当初から継続的に手がけてきた教育の柱でもあった。

 それでは国際開発分野における自立的能力とは何をさすのだろうか。この点について本研究科は、@国際・開発能力の現場感覚をもつこと、A開発問題の基礎と応用能力、B企画・運営・問題解決能力の3つであると捉えている。先進国もさることながら開発問題の中心的な現場である途上国の政治・経済・社会の変化には著しいものがある。情報・通信関連技術の発達とモノと人の移動のグローバル化により、世界は刻々と変わっている。大学院で習った理論をそのまま当てはめようとしても、うまく行かないことの方が多い。理論と現実のギャップ、すなわち現実はこのようなものだと描いているイメージと現場に行ったときの目の前の現実とのギャップは、果てしなく大きい。そのギャップをいかに机上の研究とフィールド調査とを組み合わせて埋められるかが、現場感覚があるかないかの指標のひとつになると私は考えている。

 自立的能力の2番目の開発問題の基礎と応用能力とは、自分の習った理論をどう柔軟に組み合わせつつ調整しながら適用していけるかという能力である。これは、開発に関する基礎知識や手法をます習得していることが必須であり、それに基づいて目の前の開発現場の実態をバイヤスなく捉え、開発ニーズを把握・分析する能力をもつことが条件となる。3番目の企画・運営・問題解決能力は、国際開発・協力の分野のみならずいかなる分野でも必要であり、開発分野の実務家には必須条件である。だが、国際開発分野の研究者にとってもこの能力は特に重要である。理由としては、現地でのフィールド調査が研究の過程では必要となることが多いこと、またひとりの研究者が国連の開発関連諸機関をはじめ開発分野の実務家と大学での研究・教育者としての身分を往復する傾向が強いことがあげられる。

 以上のような自立的な研究能力を養うために、このイニシアティブによる教育プログラムでは、フィールド調査能力の強化を大きな柱としている。過去15年間正規のカリキュラムとして実施してきた国内実地研修と海外実地研修をできる限り連動させ、日本の開発経験と途上国の開発問題解決とを相互にフィードバックするしくみを構築していく予定である。また、昨年度以来検討し平成18年度より実施予定の新カリキュラムは、講座や専攻の枠を一部超越したプログラム方式となっており、そのなかで開発の基礎科目や応用科目、正規カリキュラムの国内・海外実地研修や個別の学生のフィールドワークなどを体系的に位置づけている。さらに、ネットワーク型の教育として、TV会議やセミナーをこれまで以上に充実させていくことも視野に入れている。

 自立的な研究能力とは、つまるところ自分の頭で現状を的確に分析・把握し、それをもとに開発計画や政策あるいは開発プロジェクトを企画・実施できる能力であるが、その過程でコミュニケーション能力が鍵となる。チームワークが組めるか、そのなかで自分の役割をきちんと果たせるかは、開発現場でさまざまな機関やNGOなどとの連携や調整をしていく上では欠かせないポイントだと思われる。このイニシアティブのプログラムを実施していくことにより、これまで以上に競争力のある人材を国内外に輩出することができればと願っている。


カンボジア・タケオ州・セイマー村での文化・宗教班による結果報告会


長野県下伊那郡泰阜村の泰阜中学校での教育文化班による聴き取り調査

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