「人の移動と異文化理解」関連

多文化共生キーワード事典編集委員会編『多文化共生キーワード事典』明石書店 2004年

移民や教育の問題、日本国内の「国際化」、自治体の在日外国人施策、市民活動の取り組み、といった多文化共生を考える上で、手がかりとなるテーマや用語がわかりやすくまとめられている。

佐渡島紗織・吉野亜矢子著『これから研究を書くひとのためのガイドブック−ライティングの挑戦15週間』ひつじ書房 2008年

論文執筆に必要な文章作成の技能、テーマ設定から論文の評価までをわかりやすく解説している。人文社会科学系の分野むきで、自習用CD-ROM付。

岩間暁子, ユ・ヒョヂョン編著『マイノリティとは何か : 概念と政策の比較社会学』ミネルヴァ書房 、2007年.

「マイノリティ」を所与としてとらえずに国際比較を通して概念そのものを問い直し、同時に各国における歴史的社会的背景や政策との関連も検討したうえで、日本社会が今後どのようにマイノリティと向き合うかについて考察している。

松本仁一『カラシニコフ II』朝日文庫、2008年

世界でもっともポピュラーな自動小銃「カラシニコフ」をテーマに、国家や紛争についての私たちの常識を覆してくれる本。日本で私たちが享受している義務教育や医療、安全などが世界ではいかに例外的なものかを、武器売買や破綻国家の例を通じて教えてくれる。世界の冷厳な現実に戦慄する。

見田宗介 『現代社会の理論 : 情報化・消費化社会の現在と未来』 岩波書店(岩波新書) 1996年

現代社会の特質を情報化、消費化ととらえ、それが生成する基本的な問題群と矛盾の克服をちみつな理論構成で語っている。明快で透徹した論理、全体を見わたす柔軟な視野、問題の核心に理づめで迫ろうとする気迫、いずれも著者の倫理的な情熱が伝わってくる好著である。開発、環境、貧困、南北問題、情報、グローバリゼーションなどを考えたい人の必読書としてすすめたい。本書から学びとってほしいことは、問題の本質をつかみとり、切実な問いかけをすることの大切さである。ある問題を考えるとき枝葉にすぎない部分にいくらこだわっても、それは時間つぶしに「うろついている」にすぎない。対象に正と負の両面をみ、未来への志向を希望をもって語る著者の学問研究のありかたも学んでほしい。

中村尚司 『人びとのアジア : 民際学の視座から』 岩波書店(岩波新書)1994年

「民際学」はまだ広く認知されていない用語かもしれない。著者によれば、「人びとが主体となって担う学問」、「一人称や二人称で語る学問」である。つまり社会生活を営む当事者として、自己の課題を万人に共通するものとして考え学ぶのが「民際学」である。グローバル時代のなかのローカルで多様な社会のありかた、「豊かな暮らし」「貧しい社会」とはなにか、わたしたちはどのような社会を築いていけばよいのか、そうした問題をアジアの人びとへの視点をとおして、「循環性・多様性・関係性」をキーワードに地についた経験から語る著者に学ぶべきものは多い。

田中宏 『在日外国人 : 法の壁、 心の溝』 岩波書店(岩波新書) 1991年

国際開発研究科は学内で院生の留学生が一番多い部局である。日常、さまざまな国の人たちと接触する機会の多いわたしたちは、生きた異文化理解、国際化の学習現場にいるわけである。そんななかで、ふと日本人と外国人とを隔てているなにかの存在を感ずることがあるだろう。そのなにかの違和感を「法」の視点から考えてみるのに適切な書物である。かけ声だけの「国際化」「共生」におわらないために、「在日外国人」が法の下では、どのような状況におかれているのか、逆に日本人が外国に行ったとき、相手国の法の下ではどのようにあつかわれているのかを本書を通して知ることで、人間の尊厳について、あらためて深く考えるきっかけになることを願う。

ウィリアム・ロウ/ヴィヴィアン・シェリング著 (澤田眞治/向山恭一訳) 『記憶と近代―ラテンアメリカの大衆文化』 現代企画室 1999年

。歴史、文化、社会から政治・経済まで目配りの行き届いた出色のラテンアメリカ大衆文化論。

ドミニク・ストリナチ著(渡辺潤/伊藤明己訳)『ポピュラー文化論を学ぶ人のために』 世界思想社、2003年

ポピュラーカルチャーがどのような研究枠組で扱われてきたかを、「大衆文化」「構造主義」「記号論」「フェミニズム」「ポストモダニズム」といったテーマ別に扱い、歴史の流れに沿って解説したもの。音楽、映画、テレビ番組などを研究対象にしようとする人は必読。

岡村圭子著『グローバル社会の異文化論 記号の流れと文化単位』世界思想社、2003年

「文化論」の再考に始まり、「異文化」を文化単位で考えることの有効性や問題点を指摘しつつ、地域文化研究の具体例を附している。地域文化を考察しようとする人には示唆に富む内容。

二村久則、山田敬信、浅香幸枝編著『地球時代の南北アメリカと日本』ミネルヴァ書房、2006年

南北アメリカ関係という視点からラテンアメリカの経済統合、出移民、麻薬密輸など すぐれて今日的な問題を取り上げ、あわせて日本とラテンアメリカの関係についても 視野に入れている。

西川長夫著 『増補・国境の越え方』 平凡社 2001年

オリエンタリズム論を視野に入れた比較文化論。国、文化、文明などについて示唆に富んだ考察がなされている。

伊豫谷登士翁著『グローバリゼーションとは何か−液状化する世界を読み解く』 平凡社新書、2002年

現在の世界状況そのものであるグローバリゼーションについて、最も包括的に、最も分かりやすく解説した本。GSID生にとって、専攻を超えた必読書と言える。

関根政美著『エスニシティの政治社会学―民族紛争の制度化のために―』 名古屋大学出版会、 1994年.

エスニシティとは何か。多民族社会では、どのように、それぞれのエスニック・グループに所属する者に可能性の平等を与え、人権を擁護し、文化多様性を保全できるか。著者は、社会学の分析枠組みでその疑問にこたえようとし、人種・民族・エスニシティに関する近年の動向と錯綜する諸学説を明快に整理している。また、多文化主義、同化主義に関する諸問題が取り扱われている。

駒居洋 『国際化のなかの移民政策の課題』 グローバル化する日本と移民問題 第一期 第1巻、明石書店、2002年

日本の社会の国際化、日本企業の多国籍化が進むなか、非移民型国家とよばれる日本も、IT労働者などのカテゴリの外国人を受け入れざるならなくなった。どのような形で外国人労働者を受け入れるべきか。そのプロセスのなかでどのような問題が生じているか。その疑問にこたえようとしているのがこの本である。移民の定住化、情報産業における外国人労働者、留学生政策、難民の受け入れ、「偽造日系人」などの問題が取り上げられている本である。

Benedict Anderson, Imagined Communities : Reflections on the Origin and Spread of Nationalism / ベネディクト・アンダーソン『想像の共同体: ナショナリズムの起源と流行』 NTT出版 1997年

千年以上前から説き起こされる「日本国民の歴史」(/「××国民の歴史」)なるものに、未だ何の違和感も感じないナイーヴな人に。すでにそういうナイーヴさは卒業していても、まだこの本を読んでない人にも。すでにこの書は古典的と称しうる著作となり、この書の方向性を前提とした言説も多く生産されており、本研究科に進学するような人であれば、恐らくそれらをどこかで目にし、耳にしていることだろう。だからこの書を読んで、「さして新鮮とは思わない」という人がいても不思議ではない。しかし、いったん作り出された流れにのって発言するのと、それまでの「通説」、というよりはほとんど無意識の前提を意識化して突き崩す作業とは雲泥の差があることが、本書とつきあうことによって実感されるであろう。

酒井直樹 『日本思想という問題 : 翻訳と主体』 岩波書店 1997年

「日本思想」「中国哲学」「国際コミュニケーション学」……といった種々の「学」が存在し、大学院とは、それらの「学」の知識を教師が学生に教えるところである、と考えている人に。「学問とは、客観的な真実を追究するものである」といった言い回しに何の違和感も感じないナイーヴな人に。

上野千鶴子編 『構築主義とは何か』 勁草書房 2001年

「はじめに」や序章を読んでみて、未知の語や初めて聞く考え方が多かったり、読み通すのをしんどく感じた人は、必読。執筆者が十一人にわたり、分野がかなりバラエティに富んでいるので、自分の興味と近い分野を扱っている章から読んでみるのもよい。専門書・専門の雑誌に載る論文に比べるとかなり読みやすいはず。既にこうしたアプローチになじみがあり、ラクに読めた人にも。自分の専攻分野と異なる分野の人のアプローチの仕方、他者への提示の仕方などの点でも参考になるだろう。

西川長夫他編 『グローバル化を読み解く88のキーワード』 平凡社 2003年

現在のグローバル化を理解・研究していくうえで手助けとなる諸概念が概観・解説されている。

住原則也 『異文化の学びかた・描きかた―なぜ、どのように研究するのか』 世界思想社 2001年

異文化について研究し、理解しようとすることはどういうことなのかを、論文作成に至るまでのテーマ設定、文献調査、フィールドワーク等の方法論とともに平明に論じた入門書。